AS I WANT

様々なことを "As I Want" (私の好きなように) 考えるブログ。

男女の雇用機会均等

このエントリーは1,632文字で、約3分で読めます。

f:id:As-I-Want:20190420235531j:plain

現在「スチュワーデス」という職業は存在しないが、かつて旅客機の女性客室乗務員はこう呼ばれていた。

女性客室乗務員というからには、男性客室乗務員もいて、彼らは「スチュワード」と呼ばれていた。

どちらも今は「フライトアテンダント」もしくは単に「クルー」と呼ばれる (「キャビンアテンダント」は元々和製英語だが、アジア圏を中心に海外でも一部通じる)。

 

男女の雇用機会均等が叫ばれる昨今、性別によって同一の職業で異なる呼称を用いることはタブーとなった。

この社会の潮流は日本に限ったことだけではなく欧米でも同様で、かつて存在した男女別の職業呼称は廃止される傾向にある。

例えば警察官は、我々が子供の頃は「Policeman」と習ったが、"man"が男性だけを表しており性差別であると言われるようになり、今では「Police Officer」が一般的に用いられる。

今や"man"を用いた職業呼称を用いることは、極端な見方では欧米では性差別主義者 (Sexist) と見なされるような場合もあり、殊更に"man"を避けている。

警察官のみならず、消防士 (Fireman) も、ビジネスマン (Businessman) もダメである。

人類 (Mankind) ももちろんダメで、Humankindに置き換えることが推奨されているが、Humanの"man"はいいのか?Womanの"man"はいいのか?という疑問が沸くが、それは恐らく欧米ではすでに議論されていると思うので、あえてここでは黙っておく。

 

さて、冒頭の「スチュワーデス」の呼称問題だが、最近このようなニュースを見かけた。

 

ANAの客室乗務員に初めて男性が採用された、というニュースだが、驚くのはこれまでANAの飛行機には男性客室乗務員がいなかったということである。

最近はめっきり見かけないが、かつてJALにはスチュワードがそれなりにおり、国際線でも搭乗していた記憶がある。

ちなみに、スターフライヤーやバニラなど、日本国内でも男性客室乗務員を採用し、現在も乗務している航空会社は存在する。

 

最近は男性しかいなかった職場に女性が登場するようになり、そのたびに話題になる。女性初のパイロット、女性初の電車運転士、リケジョ、ドボジョと、女性が男性社会に進出することは、ニュースバリューがあるのだろう。

しかしどうだ。女性の職場に男性はきちんと活躍できているか。

男女の雇用機会均等は、男性と女性に雇用チャンスが平等に与えられることである。

男性の職場を女性にも開放することばかりが求められ、女性の職場はあくまでも閉鎖的てあるという事例は多数ある。その典型は客室乗務員である。

客室乗務員は、旅客に対するサービス要員であるとともに、緊急時には機内の安全を確保する保安要員でもあるにも関わらず、日本の航空会社では未だに女性中心の職場となっている。海外の航空会社では、ごく普通に男性の客室乗務員がおり、その比率は五分五分という航空会社も多い。

 

これは私の個人的な考えだが、職業には男女の得意不得意がある。それは差別ではなく区別である。このような区別を差別と勘違いして、何でもかんでも男女平等を訴えるのはどうかと思う。

例えば冒頭のANAのケース。ほぼすべてのスタッフが女性の職場でたった数人の男性が働くというのは、本人の「働きたい」という気持ちよりも「働きにくい」という環境の負担のほうが優先する可能性が高い。もしパフォーマンスではなく、本当に職場の男女平等を考えるのであれば、会社の制度を抜本的に改革する必要があり、それは会社にとってもコストであり、負担になる。

このニュースに取り上げられたANAの彼が、10年後も生き生きと客室乗務員として活躍してくれていることを願うばかりだが、もし日本の大手航空会社が、これからも客室乗務員の職場を本当に男女の雇用機会を均等にしようとするのであれば、相当の覚悟を持って職場の環境を改革させていく覚悟が必要である。