AS I WANT

様々なことを "As I Want" (私の好きなように) 考えるブログ。

ご旅行の際の振る舞いにはご注意下さい

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個人的に評価の低いANAラウンジ (成田空港)

今週のお題「特大ゴールデンウィークSP」

これだけ長い連休でも、海外出張がメインの仕事となると、のんびりと休んでもいられない。何しろ日本以外には令和の新時代到来も関係なければ、ゴールデンウィークなどという連休も存在しない。

シンガポールバンコク、香港と経由して今週日曜日に帰国したが、3日ほど自宅で家族サービスを提供した後、今日から中国、インド、ベトナムへと半月ほどの出張である。

最早このような頻度の出張は、社畜たる私にとってはライフワークのようなもので、別に苦だとも思わないし、家族もそういうもものだと思っているので、我が家では別に珍しいスケジュールではない。

ちなみに、出張の出る際は「家族の手を煩わせない」ことを私は出張のポリシーにしているので、前の出張から帰った後の洗濯、スーツケースに詰める衣類の準備、必要な買い出し、荷物の発送など、すべて自分でやる。当たり前のことだが、私の周りでは奥様にそのあたりをお願いしている出張者も多いが、それではビジネスパーソン失格だと思っている。

 

多くの日本国民が超大型連休を謳歌している只中ではあるが、ゴールデンウィークに限らず、お盆や正月の出張にはメリットとデメリットがある。

メリットは、ビジネス目的の出張者が少ないこと。

国際線の場合、平時はビジネスクラスも利用者が多く、ラウンジも比例して混雑している。しかし、こうした大型連休中は、ただでさえ運賃が連休によって高騰している中、ビジネスクラスでバカンスに出かける人は一握りで、ビジネスクラスの予約自体はそれほど逼迫していない。なお、元々ビジネスクラスの運賃は高額だが、平時と連休との間でそれほど運賃差があるわけではないので、金銭的なダメージは少ない。

デメリットは、海外旅行に不慣れな旅行客が増えることで様々なところで混雑が生じること。

連休期間中は、ビジネス需要よりも観光需要が伸びるのは当然だが、もう1点注目すべきは、ビジネス需要は基本的に個人あるいは個人の集合であるのに対し、観光需要は家族単位、グループ単位での旅客移動が増える。グループの移動は時間がかかるし場所をとる。そうした団体需要が集中するのだから、混雑・渋滞するのは当然である。

また、連休の時期はラウンジや機内の雰囲気が煩い。平時はラウンジや飛行機の中では静かに仕事をするか短い休息を取るビジネス客が多いが、ビジネスユースや個人での利用に慣れていない旅客が多いと、どうしても賑やかになってしまう。たまの海外旅行には気持が逸るのは仕方のないことで、彼らの旅は飛行機に乗る前から始まっているのだから、それはそれで大いに結構である。ただ、そんな楽しそうな観光客を横目に仕事のために飛行機に乗るのは、少々辛い。

 

ビジネスクラスラウンジは、航空会社によってその雰囲気や性格が異なる。

今日は仕事のスケジュールの都合もあり成田からANA便を利用したが、ANAビジネスクラスラウンジは、残念ながら静けさや落ち着きというものがない。よく言えば「カジュアル」だが、正直な個人的印象としては、常に騒がしく、食事のクオリティも低く、総じて利用者が多く混雑しているので、できれば利用したくない。

食事は無料なので文句は言えないが、結構な数のビジネス客は機内での休息時間を最大限確保するため、機内食は食べず事前にラウンジで済ませる。ANAはそのフラッグシップラウンジで「朝食無料のビジネスホテル並」の食事しか提供しないのはどうだろう。機内食も大したことはないが、全てではないにしてもせめて同等のクオリティのものを何か提供してほしいところだ。

成田空港の場合、第1ターミナルに集結するスターアライアンスに加盟している航空会社が多いのにも関わらず、提携航空会社のラウンジの数が少なく場所も相当分散しているので、スターアライアンス各航空会社に搭乗する会員がANAラウンジに押し寄せるという現状も、旅客集中による混雑の原因だ。これはハード面での対応が必要なので、なかなか解決は難しい。

そして、ANAの上級会員制度「SFC (Super Flyers Club)」が乱発されているおかけで、純粋なビジネスクラス旅客や高頻度利用者ではない、SFC資格保有者の利用率が高く、ラウンジ全体の客層がお世辞にも高いとは言えない。

www.ana.co.jp

SFCは、国内線であれば年間50回以上の搭乗実績または50,000プレミアムポイントの積算により「プラチナ」ステータスを獲得し、初めてSFC会員申し込み資格を得られる。SFC会員はスターアライアンスのゴールドメンバーカードも兼ねており、付帯するクレジットカードの年会費を支払い続ける限り、年間の搭乗実績が不足していてもSFCステータスは維持される。

SFC会員になると、国内線・国際線のANAラウンジやスターアライアンス加盟航空会社利用時に提携航空会社のラウンジが利用できるようになる。この資格獲得のためにわざわざ登場回数やプレミアムポイントを稼ぐ「修行僧」と呼ばれる人がいるほどだ (この「修行僧」については、また別の機会に記事を執筆しよう)。

こうした日々の弛まぬ努力でステータスを手に入れた会員らが、家族サービスのために海外旅行に出かけるのは、大体今のような大型連休の機会になるだろう。今日もビジネスユースの旅客よりも家族連れでラウンジを利用している方が多かった。

 

「修行」してSFC会員になることは、その対価を搭乗という形でANAに支払っているわけだから、決して悪いことではない。だが、旅慣れていない付け焼刃のこうした人たちの振る舞いは、残念ながら一見してそうだと分かってしまうことが多い。国際線の利用に不慣れな会員がラウンジに増えるこの時期は特に顕著に見かける。別にこうした人々を差別する意図はないが、目に余るような不誠実な態度や、傲慢な態度の人が多いのは事実だと思う。

例えば、

  • ひと家族でいくつもソファを占領する
  • 大量の荷物で座席を塞ぐ
  • 3歳以下の子供を連れ入れて子供が騒いでも注意しない、あるいは大声で注意する
  • ソファに足を投げ出して寝る
  • タダ飯タダ酒をここぞとばかりたらふく食らう
  • スタッフに対する態度が大きい、注文をする
  • 「ありがとう」を言わない、言えない

こんな特徴がある人は、あまり旅慣れていないか、SFC会員のポジションを勘違いしているか、あるいはそもそもビジネスパーソンとしての素質を欠いていると考えてしまう。思い当たる節がある方は、次回以降気を付けた方がいい。

 

ビジネスパーソンは、自身の立ち振る舞いに気を掛ける。

スマートなビジネスパーソンの要素は、年齢でも、持ち物でも、航空会社のステータスでもなく「態度」と「振る舞い」である。常にスマートな態度を貫くことができる人こそが、真にスマートなビジネスパーソンなのだ。

態度や振る舞いは、言い換えれば「他者への配慮」である。

これは一朝一夕では身に着けることができない。配慮は対象は、他の旅客だけでなく、空港や航空会社のスタッフ、店員など、全ての人である。たまたま手に入れた航空会社のステータスによって、自分が偉くなったと勘違いしている方も多いが、それは少々の金と時間があれば誰もが手に入れられるものなので、決して偉くなったわけではない。強いて言えば「少しだけ多めに金を落としてくれる客」でしかない。

ステータスを手に入れたことで「俺は得意客だ」という人もいるかもしれないが、本当の得意客は「少ない回数でも、高い運賃クラスでチケットを買ってくれるお客様」だ。安い航空券でセコセコとポイントを稼いでステータスを取得した人ではない。そこを勘違いしてはいけない。

 

ステータスカードを持っていたところで、他者への配慮ができない勘違い者は、スマートな旅行者やビジネスパーソンには絶対になれない。そういう人を空港や機内で見かけると、本当に悲しい。特に連休における家族連れやカップル連れの旅客にそういう人を見かける。

普段頻繁に出張や旅行に行かない人ほど、そういう勘違いを起こしやすいので注意が必要だ。空港や飛行機の中は、毎日のように飛行機の乗り続けるビジネスパーソンや、数多の旅客に毎日接している客室乗務員ばかりだ。その人たちから見れば、勘違いしたステータスホルダーは一目瞭然で、笑顔で接しているように見えても、内心は失笑・冷笑している。逆に、他者に気遣う配慮を見せられれば、一段上のランクのトラベラーだと思ってもらえる。

あまり機会のない旅行のタイミングで、自身を大きく見せたいという衝動が起きることは理解できる。しかし、ただ態度だけ尊大で誇張しても、それは実態を伴わない虚構である。特にそういう機会が増える連休時期の旅行では注意が必要だ。

旅行で自分自身を誇張する必要はない。もしあなたが「旅慣れた自分」を演出したのであれば、ステータスをひけらかしたり、スタッフに大きな態度で接するのではなく、身の回りの人と気も強くコミュニケーションが取れるように「配慮する」ことが一番の近道だ。